AC-130 は、ロッキードC-130ハーキュリーズ輸送機の機体を流用し、重火器を搭載した対地専用攻撃機。通称「ガンシップ」[1]。
ガンシップ・プロジェクトIIに基づいて、ロッキードC-130 ハーキュリーズに重武装を施した機体である。
初期型のAC-130AはAC-119同様M134 7.62mmミニガン4挺とM61 20mmバルカン4門を装備していたが、9K32(SA-7 グレイル)やFIM-92 スティンガーなどの携帯式地対空ミサイルの発達と普及に伴い、長射程大火力のボフォース L60 40mm機関砲やM102 105mm榴弾砲が追加され、AC-47やAC-119とは桁違いの重武装と大火力を有するようになった。 武装は機体左側面に装備され、目標を中心に左旋回しながら攻撃する。これは、左側に座る機長が目標を視認しやすいためである。元となった機体が輸送機なので大量の弾薬を搭載でき、長時間に渡っての射撃が可能になっている。
制空権を獲得できるだけの航空兵力を有するアメリカのみ保有しており、敵の地上部隊やその支援部隊に対して強力かつ精密な攻撃をおこなう。味方の地上部隊から支援要請を受けて攻撃を実施するための通信機器、敵の正確な位置を把握するための赤外線センサやレーダー測距、そして、それらの情報をもとにして精密射撃をおこなうための火器管制コンピュータなどを搭載している。
同機は空軍特殊作戦コマンドでのみ運用されている。AC-130Aスペクターがベトナム戦争に投入された以外でも、グレナダ侵攻やパナマ侵攻、湾岸戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ソマリア内戦、コソボ紛争、アフガン侵攻、イラク戦争、ソマリア内戦、リビア内戦にも投入されている。
アメリカ空軍では現存のAC-130Uの近代化改修案として、25mmガトリング砲と40mm機関砲を2門のブッシュマスターII 30mmチェーンガンに、105mm榴弾砲を後装式の120mm迫撃砲に換装するほか、スタンドオフ攻撃能力を与えるためにAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイルとハイドラ70ロケット弾の運用能力を付与する計画が存在していたが、キャンセルされた。後に、精密な近接航空支援に特化した改修案「AC-130J」が発表され、前述のスタンドオフ攻撃能力として精密爆弾やミサイルを搭載し、代わりに固定武装をブッシュマスターII 30mm機関砲1門に削減している。
2015年5月16日に最後のAC-130Hスペクターガンシップである、第27特殊作戦航空団第16特殊作戦飛行隊所属“エクスカリバー”69-6569号機が退役した。[2]
なお、AC-130Uスプーキーは2019年に退役し、AC-130WスティンガーⅡ及び前述の長胴型最新機AC-130Jゴーストライダーの2機種を運用している。
AC-130は、1967年にベトナム戦争に配備された以来、公式・非公式を問わず米国が関与したほぼすべての紛争に配備されている。
1969年5月24日、最初のガンシップが敵の砲撃により失われた以降2023年までのガンシップ損失を列挙する。
日付 | モデル | Unit | 損失原因・備考 |
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1969年5月24日 | AC-130A | 第16特殊作戦中隊 | 高度6,500フィート (2,000メートル)で北ベトナム軍の車両を偵察中、37mm対空砲により撃墜された。 |
1970年4月22日 | AC-130A | 第16特殊作戦中隊 | 北ベトナム軍の車両を攻撃中に37mm対空砲で撃墜された。 |
1972年3月28日 | AC-130A | 第16特殊作戦中隊 | ホーチミン・ルートを通る車両に攻撃中S-75地対空ミサイルにより撃墜された。 |
1972年3月30日 | AC-130E | 第16特殊作戦中隊 | 高度7,500フィート (2,300 m) 上空で車両を攻撃中に57mm対空砲によって撃墜された。生き残った乗員を救助する為に救出作戦が行われた。 |
1972年6月18日 | AC-130A | 第16特殊作戦中隊 | ストレラ-2によって撃墜された。ミサイルは第3エンジンに衝突し、主翼が吹き飛ばされた。 |
1972年12月21又は22日 | AC-130A | 第16特殊作戦中隊 | ホーチミン・ルートを通る車両を高度7,800フィート (2,400 m)上空から攻撃中、37mm対空砲で撃墜された。 |
1991年1月31日 | AC-130H | 第16特殊作戦中隊 | カフジの戦闘にてコールサイン「スピリット03」は海兵隊の守備を行っていたが、ストレラ-2を持ったイラク兵によって撃墜され、乗組員14名全員が死亡した。[3] |
AC-130 基本性能