T.37とは、「蓄積交換型のインターネットファクシミリデータ伝送手順(Procedures for the transfer of facsimile data via store-and-forward on the Internet)」として、ITU-Tで勧告された通信プロトコルである。電子メールTIFF添付ファイル としてSMTPで転送するため、メール方式インターネットファックスとも呼ばれる。

拡張規格として、同一ローカルネットワーク内でIPアドレスを指定して、メールサーバを経由しないリアルタイムのT.37 Full Mode 直接通信可能なダイレクトSMTPがある。PCのFAXソフトウエアや業務用複合機の機能として実装されている。ダイナミックドメインネームシステム対応ルーターによりホスト名で動的グローバルIPアドレスを直接指定するものもある。

概要

T.37ゲートウェイメールサーバオンラインストレージを組み合わせ、同報通信・不達時再送信・時間指定送信などを付加してASPが提供されている。

無線アクセス利用の固定電話

無線アクセス加入者線固定電話では、モデムが利用できないため無線区間をT.37で伝送する [1] [2]

ワイヤレス固定電話発信の場合、ターミナルアダプタの「FAXボタン」を1秒以上押した後、もしくは「0009」のプレフィックスを電話番号に前置きしてワイヤレス固定電話端末が発信すると、ターミナルアダプタがT.37に変換しFAX蓄積サーバーに転送し、FAX蓄積サーバーがT.30で電話網へ送信する。

ワイヤレス固定電話着信の場合、電話網からのT.30着信を検知したとき無線区間の回線をいったん開放し、FAX蓄積サーバーがT.37に変換しターミナルアダプタに転送し、ターミナルアダプタがワイヤレス固定電話端末に送信する。

T.37ゲートウェイの動作

G3ファクシミリからの発信の場合、着信電話番号・発信元情報などを電子メール本文に、モデムによる画像信号をTIFFの添付ファイルに、変換し転送する。これをオンランプと呼ぶ。

電子メールとして発信されたものは、電子メール内の電話番号を解釈し公衆交換電話網へ発信し、TIFF添付ファイルをモデム画像信号としてG3ファクシミリへ送信する。これをオフランプと呼ぶ。[3]

T.37 Simple Mode

T.37 Simple Mode I-FAX は、基本的な伝送機能を定めたものであり、ITU-T1998年6月に勧告された。双方向機能がないため、送達確認・能力交換に別の手段が必要である。

関連するIETFのRFC

関連するIETFRFCには、次のものがある。

T.37 Full Mode

T.37 Full Mode I-FAX は、送達確認・能力交換などの双方向機能、高精細度・カラー伝送などの付加機能を定めたものであり、ITU-T1999年に勧告された。

関連するIETFのRFC

関連するIETFのRFCには、次のものがある。

関連項目

脚注

  1. ^ 第1回検討作業班に関する 補足説明』(プレスリリース)総務省、2020年6月29日https://www.soumu.go.jp/main_content/000694070.pdf2024年4月21日閲覧 
  2. ^ ワイヤレス固定電話サービスのインタフェース』(プレスリリース)西日本電信電話、2024年4月1日https://www.ntt-west.co.jp/info/gisanshi/pdf/wirelesstelephone_gisanshi_01.pdf2024年4月21日閲覧 
  3. ^ http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/100/1004/1004338_T37-store-forward-fax.html

外部リンク