『A LONG VACATION』 | |||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | ||||
ジャンル | ポップス | ||||
時間 | |||||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY | ||||
プロデュース | 大瀧詠一 | ||||
チャート最高順位 | |||||
ゴールドディスク | |||||
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大滝詠一 アルバム 年表 | |||||
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『A LONG VACATION』収録のシングル | |||||
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ナイアガラ・レーベル 年表 | |||||
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LP及びCD帯のカナ表記は「ロング・バケイション」で、「ロンバケ」の愛称でも親しまれている大滝最大のヒット作。1982年のCD発売後、オリコン初のミリオンセールス作品でもある。1970年代まではまだ知名度が低かった大滝の名が世間にも広まり、音楽業界では「(ナイアガラでのソロ活動開始から)5年も売れなかったアーティストが突如売れるのは奇跡」と言われるほどの出来事だった。[要出典]以後も、アルバム収録曲にタイアップや、多くのアーティストにカバーされている。
大滝本人による「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」を除いて、作詞はすべて松本隆が担当している。2人がコンビを組むのは、はっぴいえんど『HAPPY END』収録曲「田舎道」「外はいい天気」以来。本作は当初、大滝の誕生日である7月28日リリースの予定だったが、松本が妹の看病[book 2]、そして死去により詞が書けなくなり、「作詞を降りる」と大滝に告げたが、彼は「発売を延ばす。待つよ」と返答し、9月に延長されたもののさらに伸び、結局3月の発売となった。これらの経緯について後年、松本は以下のようにコメントしている。
- 「(大滝から)連絡があったの。『頼みたいことがあるから松本の家に行っていいか』って言って。彼が言うには『今まで自分は売れないレコードをいっぱい作ったんだけれども、それは本意じゃなかった』『今回は、松本が売れて細野も売れて山下まで売れたから、俺も売れなくちゃいけないと思う』と言って。そりゃそうだろうねと思って。で、『手伝ってくれ』って言われて、いいよって言ってね」
- 「妹が、亡くなっちゃったの、突然。もう詞が書けるような精神状態じゃないから、困ったなと思って。(大滝に電話をかけて)今回はちょっと間に合わないと思うって言ってね。他の誰か作詞家の人に頼んでくれるかなと言ってね。言ったんだけど、大滝さんは『このアルバムは松本ありきで考えてるから、他の人じゃ駄目なんだ』って言ってね。『とにかく詞が書けるようになるまで待つから』って言って」
- 「半年ぐらい僕が遅れて、『カナリア諸島』と『君は天然色』っていうのを書いてね。『君は天然色』っていうのが…全く、妹が死んでショックがやっぱあって。渋谷を歩くと真っ白に見えるわけ。色がなくなっちゃってね。ああ何か目がおかしくなったなあって思って。その詞を書いたのが『君は天然色』でね。彼はその詞がすごい気に入って。あと『カナリア諸島』も気に入ってね。『ああ、こういうのを待ってた』と」[1]
販売延期については以前、ディストリビュート契約を結んでいた日本コロムビアが1980年 までナイアガラ・レーベルの販売権を持っていたことも影響していると推測される[注釈 1]。
大滝曰く、自分のボーカルにキーを合わせて作曲したのはファースト・ソロ・アルバム『大瀧詠一』以来という(その間は全て楽器に合わせて作曲していた)[2]。
本作の制作過程について大滝は、雑誌のインタビューで「昨年(1980年)4月13日にレコーディングに入って、最初は(1980年)7、8月に出そうとの事で夏のイメージで初めて、A面の1、2、3をレコーディングしたけど、そのうちに11月、12月に発売させるということになってしまったので、それじゃ、冬っぽいものも入れようということでB面の最後の方が冬物になった。けれど、どうも発売が延びて、それじゃってことで発売が結果的に(1981年)3月21日になってしまい、冬物がちょっと合わなくなったけどね、いやーレコーディングは感動の連続でした」などと述べ[3]、制作の強い動機と自身の音楽性について以下の話をした。
- 「昔は拓郎と陽水とこうせつしかいなかったっていう歴史にしたくないんだよ。彼らはオーバー・グラウンドでやっていたからそれはそれでいいんだけど、その横で一生懸命やっていた人がいたってことで、それがアッコちゃんにしろ佳孝にしろ、最近ボカーンと出て来たじゃない、やっぱり間違っていなかったんだよ。それと僕が最終的に出したいものは音だとかさ、歌だとかそういった細かいもんじゃなく全体的な雰囲気なんですよ。だから音が悪いとかミックスが悪いとかよく言われたけど、そんなものはどうでもいいわけ、雰囲気がだめになったらおしまいなんですよ僕の音楽は。で、いつもここを重視して考えてるわけ。しかし、まあ、売れて気持ちいいですね、ある程度これが売れないと日本の音楽もおしまいだって脅迫したから」[3]
BREEZEが心の中を通り抜ける
アルバム・ジャケットのアートワークは大滝の他作品も手がけている永井博による。元々は永井が1979年に発表した『A LONG VACATION artbook』から大滝が「こんなテイストにしたい」と決めている。松本隆によると、描かれている白いパラソルからインスピレーションを得て作られたのが松田聖子の「白いパラソル」だという[4]。
CD発売促進のカタログの表紙にある同盤のジャケットには、コンパクトディスク・マークがデザインされていないのが確認される。
オリコン1位は獲得できなかったものの最高2位まで上がり、発売1年で100万枚を突破した。発売から20年を経た2001年[book 3]。さらに2020年時点での累計売上は200万枚以上に達する[5]。
時点での再発盤を含めた累計売上は約170万枚本作は、雑誌『レコード・コレクターズ』2010年9月 号の特集「日本のロック・アルバム・ベスト100(1980年代編)」にて、第1位に選ばれた。
『A LONG VACATION』 | |||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | ||||
ジャンル | ポップス | ||||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY | ||||
プロデュース | 大瀧詠一 | ||||
大滝詠一 アルバム 年表 | |||||
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ナイアガラ・レーベル 年表 | |||||
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発売から1年半後の1982年10月1日[注釈 6]。大滝によれば「とにかくアナログ2,700円の時代に3,500円のCDしかもCDの最初期だから、リスナーはCDプレイヤーも購入しないとならないわけです。だから誰も買いませんでしたね。ホントですよ」[book 5]とし、実際最初の3年間はCDの印税はゼロだったという。さらに「まあとにかく、品番35DH 1が『ロンバケ』で、35DH 2が『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』[注釈 7]だったわけですが、肝心の音が“なんでこんなに音が悪いんだ?”という。こうして僕のデジタル研究の旅も始まってしまうんですよ」[book 5]という。大滝にとってもCDについてはわからないことばかりだったがアナログ・カッティングでの経験から当時、マスタリング・レベルのピークが-20dBに設定されていたため音量が小さい部分に問題があるのではないかと考えたという。そこで、レベル・ピークを-0dBまで入れた2ndプレスが35DH 1のまま1983年 に発売された。結果としてこのアルバムは世界初のCDリマスタリングが行われたタイトルになってしまったという[book 5]。しかし、2ndプレスに対して周囲から“音がひずんでいる”と指摘されたのを受け、今度はピーク・レベルを-16dB辺りに設定した3rdプレスが制作され、最終的には3種類の35DH 1が存在している[注釈 8][注釈 9][注釈 10]。“マスターサウンド盤シリーズ”の高音質盤には、35DH 1ファーストプレスのデジタルマスターが使われている[注釈 11]。
、世界初のCD化タイトル50枚の中に選出された1989年PCM-1630のU-Maticに落としました。その際、“アナログ・マスターが危険な状態にある”という話を聞かされたんです。1980年 から83年までの3Mのテープは全体的に不具合があるという通達が来たのですよ。磁性体がボロボロ落ちて音が出なくなると。普通アナログは経年変化で最後はダメになるのだけど、この時期のテープはそれより早くダメになるという。それで『もう1回、何とかお願い!』ってU-Maticに入れたのがアナログを回した最後でした」[book 5]という。
に初の『公式』リマスター盤が発売されたが、大滝によれば「まだ世間的にはリマスタリングなんて言葉も無かったころですが、実は我々にしてみればこの時点で4回目のマスタリングだったんです。で、この時はアナログ・マスターから1989年
盤は、ケース本体に「1989 RE-MASTER」のステッカーが貼られ、「さらばシベリア鉄道」がカットされ全9曲となった。『A LONG VACATION』 | ||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | |||
ジャンル | ポップス | |||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY RECORDS | |||
プロデュース | 大瀧詠一 | |||
大滝詠一 アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
JAN 4988009166124, ASIN B00005G3F6 (CD) JAN 4988009732060, ASIN B01GS1K06I (MD) |
「CD選書シリーズ」の一枚として廉価盤でのリリース。1991年 リマスターを使用、全10曲のオリジナルに戻された。レコード会社からは1990年 発売を打診されていたが、10周年に合わせて1991年 発売となった。
大滝によれば諸事情により、この選書盤のマスタリングに関与していなかった。後に30周年リマスタリングをする際、どの盤がどのマスターを使っているのか検証したところ、選書盤で使われたマスターはオリジナル・マスターではないことが判明したという。『EACH TIME』[注釈 12]リリース時に12インチ・シングル・ボックスが発売されたのに併せて『ロンバケ』のシングル・ボックスが企画され、そのためにオリジナル・アナログ・マスターから1/4インチ・アナログ・マスター・テープのコピーが1984年当時に作られ、「君は天然色」「カナリア諸島にて」「恋するカレン」「雨のウェンズデイ」とシングルのカップリング順に入っていた。最終的にシングル・ボックスの企画はなくなり、テープはそのまま保管されていた。ナイアガラ原盤リストに入っていなかったため、オリジナル・マスターからのコピー第一世代ではあるものの、全然再生されていないマスターが選書盤のマスターに使われていたことを、1991年 の時点で大滝は知らなかったという[book 5][book 6]。
CD選書盤はオリコン集計では最高56位で6.9万枚の売上だが、実売では10年間で45万枚を売り上げたという[book 7]。
# | 発売日 | リリース | 規格 | 品番 | 備考 |
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1 | 1981年3月21日 | ナイアガラ ⁄ CBSソニー | LP |
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アンケートハガキ封入。季節によりヴィニール・カバーを付けて発売されたものもある(1981年 | 冬期キャンペーン & 1982年 春期キャンペーン)。プレス時期によりレーベル・クレジットが異なる(1stプレス & 見本盤“All music & arrangement by 大瀧詠一”、2ndプレス以降“All music & arrangement by 多羅尾伴内”)。1983年 以降、ナイアガラ・レーベルからリリースされたシングル及びアルバムのジャケットを印刷したインナースリーブを封入。
2 |
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3 | 1981年7月21日 | LP |
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4 | 1982年10月1日 | CD |
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プレス時期によりマスタリング違いが3種類存在する。初回プレスは、盤の表面がゴールド仕様(但し初回プレスの後期にはシルバーの盤面も存在する)。セカンド・プレスは盤の表面がシルヴァー仕様で1983年 | 流通。サード・プレスは盤の表面がシルヴァー仕様でNGCD-7-OT表記有。1983年 流通。|
5 | 1983年8月1日 | LP |
30AH 1616 | マスターサウンド・シリーズでリリースされたアナログ盤。ジャケットには帯に加え外袋に“デラックス仕様レコード”のステッカーが貼られる。レーベル・クレジットはオリジナル・アナログ盤2ndプレス以降と同じ(“All music & arrangement by 多羅尾伴内”)。 | |
6 | CT |
33KH 1050 | マスターサウンド・シリーズでリリースされたメタル・カセット。 | ||
7 | 1989年6月1日 | CD |
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1989年 | リマスター、「さらばシベリア鉄道」をカットした全9曲。|
8 | CT |
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9 | 1991年3月21日 | CD |
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CD選書シリーズの一枚。全10曲のオリジナルに戻る。 | |
10 | 1997年10月22日 | ナイアガラ ⁄ ソニー |
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MD選書シリーズの一枚。全10曲。 | |
11 | 2001年3月21日 | CD |
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12 | 2011年3月21日 | 2CD |
SRCL 8000~1 |
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13 | 2014年3月19日 | – |
通常音質(全11曲:AAC 128/320kbps)[8][9][10][11][12] | ||
2014年4月1日 | |||||
14 | 2015年3月21日 | ナイアガラ ⁄ ソニー・ミュージックレーベルズ | CD |
SRCL 8700 |
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15 | 2021年3月21日 | 4CD+BD+2LP+CT+GOODS | SRCL 12000~8 |
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16 | 2CD |
SRCL 12010~11 |
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17 | LP |
SRJL 1234 |
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