Final Cut Pro
開発元 Apple
最新版
macOS版 10.8, iPadOS版 2.0 / 2024年6月20日
対応OS macOS Ventura 13.5以降, iPadOS 17.4以降
プラットフォーム

Appleシリコン搭載Mac Intel Mac

M1チップ以降を搭載したiPad
種別 ビデオ編集ソフトウェア
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト

Apple - macOS版 Final Cut Pro

Apple - iPadOS版 Final Cut Pro
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Final Cut Pro(ファイナルカット・プロ)とは、Appleの開発・販売するソフトウェアのひとつで、パソコン向けのノンリニアビデオ編集を目的としたmacOS向けのソフトで、Appleのプロフェッショナル向け映像ソリューションの中核となるソフトウェアである。

バージョン6とバージョン7では、MotionSoundtrack ProDVD Studio ProCompressorColorなどを含むソフトウェアスイートFinal Cut Studio(ファイナルカット・スタジオ)として販売されていた。

学生・教職員向けPro AppバンドルとしてFinal Cut ProとLogic Pro、Motion、Compressor、MainStageがセット販売されている[1]。2023年6月現在30,000円[1]

2023年5月、iPad用Final Cut Proが発表された[2]

概要

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元来は、アドビシステムズ(現アドビ)でPremiereを開発していた、Randy Ubillos(2015年4月に引退[3])を中心とするグループが、マクロメディアに移ってコードネームKeyGripと称して開発していたソフトウェアであり[4]、1997年のNAB Showにて開発が発表され"Macromedia Final Cut"として販売されるはずであった[5]

後に、Appleが開発中のKeyGripを購入、1999年4月にFinal Cut ProとしてVer.1が発売され、2009年7月当時の最新版はIntel Macのみ対応のVer.7であった。

2003年7月、Final Cut Proの成功により、アドビはMac版Premiereの開発を中止した[6][7](後のIntel Mac版Premiere Proは新規開発の別製品[8])。

Final Cut Studioは、Final Cut Proに加えて、MotionSoundtrack ProDVD Studio ProLiveTypeCompressorCinema ToolsColorを含む、プロ向けのスイート。また、機能を省略した廉価版であるFinal Cut Expressも用意されていた(後述するFinalCutPro Xの登場と価格改定に伴い、Express版はフェードアウトとなった)。

Final Cut Proは拡張環境対応に優れており、インタフェースボードやRAIDディスクの追加、Xsanシステムの利用などにより、さらに高性能・高画質な編集も可能である。プロ向け映像編集ソフトとして人気があり、2009年時点でのユーザ数は140万であった[9]

Final Cut Pro Xは、機能とユーザインタフェースが刷新、64bit化された革新的なソフトとして、2011年4月12日に発表された[10]

優位点

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Final Cut Pro X

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2011年6月、AppleはFinal Cut Proの新しいバージョンである'"Final Cut Pro X"'(FCP X) 10.0をリリース。内部構造が根本的に刷新されたほか、ツールとしての挙動・用語の概念・UIデザイン等が大幅に変更された上に多数の機能が削減された為、混乱を起こし批判を浴びた[11][12][13]。しかし、無料アップデートを繰り返して改良と機能追加、高速化を進め、2018年4月の時点でユーザ数が250万を超える人気ソフトとなっている[14]

Final Cut Pro XはGrand Central DispatchとOpenCL(10.4.7でMetalへ刷新)をサポートをしている64bitアプリケーションである。これらの機能が追加されたことにより、並列処理及びバックグラウンドでレンダリングを行うことが出来るようになった。

RED ONEなどの4Kの解像度にも対応し、クリップの管理ではクローズアップ、ワイドショットなど自動的にショットによってグループ分けされる機能を持っている。レンズフレア、手ぶれ補正、ローリングシャッター補正、カラーバランス(色補正)等の映像修正も簡単に行うことが出来るようになった。

Final Cut Pro Xは2011年6月21日からMac App Storeでダウンロード可能になった。初期価格は35,000円で、後に26,000円となった。2022年3月時点で36,800円、2022年10月5日に48,800円に値上げされ、2023年6月時点で45,000円である。発売開始当初、App Storeサポートセンターによると、利用規約に記述されている「(i) お客様には、個人的、非商用目的に限って本iTunes商品を利用される権限が与えられるものとします。」を根拠とし、「iTunes Storeでは非商用目的の、個人でご利用を目的としております」と回答しているため、Final Cut Pro Xはプロユースとしての使用はできないとされていた。2012年8月現在は法人向けストアである Apple Store for Business からの決済もできるようになっている(通常のApple Storeや同Educationには表示されない)。

Appleは、今後のアップデートによりマルチカメラなどの機能を追加予定だと発表、Ver.10.0.3のマイナーアップデートでマルチカメラ等の機能が追加された[15]

Final Cut Pro(10.5以降)

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Final Cut Proの画面(Final Cut Pro 7まで)

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標準設定でFinal Cut Proを立ち上げて現れるのが、「ビューア」「キャンバス」「ブラウザ」「タイムライン」の4つの画面である。動画作成に使う素材(クリップ)は、ブラウザに収納することが出来る。それぞれのクリップを、ダブル・クリックして現れるのがビューアで、そのクリップに関する設定(例えば、透明度、拡大・縮小など)を変更することが出来る。

ビューアとは対照的に、動画全体がどのように画面に現れるかを確認できるのが、キャンバスである。そして実際の動画作成の作業場となるのがタイムラインで、ブラウザに確保してあるクリップを、ここにドラッグ・アンド・ドロップしながら動画全体を編集していく。

脚注

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[脚注の使い方]

出典

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  1. ^ a b 教育機関向けPro Appバンドルを購入”. 教育 - Apple(日本). 2023年6月27日閲覧。
  2. ^ Apple、iPadのためのFinal Cut ProとLogic Proを発表”. Apple Newsroom (日本). 2023年5月24日閲覧。
  3. ^ Randy Ubillos, Final Cut creator & chief of video/photo software, to leave Apple after 20 years”. 9to5Mac. 2023年12月26日閲覧。
  4. ^ Final Cut creator Randy Ubillos leaves Apple after 20 years” (英語). AppleInsider (2015年4月23日). 2023年12月26日閲覧。
  5. ^ Adobe Plans Its OS X Premiere” (英語). Macworld. 2023年12月26日閲覧。
  6. ^ https://www.itmedia.co.jp/products/0307/08/ne00_premiere.html Mac版Premiereは6.5まで――DTVパイオニアの歴史に終止符] - ITmedia (2003年7月8日)
  7. ^ アドビ、新製品ではMacをサポートせず - CNET (2003年7月7日)
  8. ^ Adobe、次期Production StudioでMac版Premiereを復活 - ITmedia (2007年1月4日)
  9. ^ Apple、100以上の新機能でFinal Cut Studioをアップデート”. Apple Newsroom (日本). 2022年3月31日閲覧。
  10. ^ “アップル、「Final Cut Pro X」を発表--「iMovie」の新機能も採用” (日本語). CNET Japan. (2011年4月13日). https://japan.cnet.com/article/35001664/ 2018年4月7日閲覧。 
  11. ^ Siegler, MG「人気バラエティー番組ConanがFinal Cut Pro Xをくそみそに | TechCrunch Japan」『TechCrunch Japan』。2018年4月7日閲覧。
  12. ^ 米 Appleが 旧 Final Cut Studioの販売を一部再開という情報”. www.raitank.jp. 2018年4月7日閲覧。
  13. ^ Ueda, Haruka. “Final Cut Pro X に賛否両論、機能不足の対処法をアップル社員が説明 - Engadget Japanese” (日本語). Engadget JP. オリジナルの2011年6月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110630220039/http://japanese.engadget.com:80/2011/06/27/final-cut-pro-x 2018年4月7日閲覧。 
  14. ^ Final Cut Pro Xがアップデート、ProRes RAWと高度なクローズドキャプションが可能に”. Apple Newsroom (日本). 2023年12月26日閲覧。 “Appleは、250万人以上のにユーザに使われている同社の最も人気の高いプロフェッショナルビデオ編集ソフトウェア、Final Cut Pro Xの新しいアップデートを発表します。”
  15. ^ a b Final Cut Proリリースノート”. Apple Support. 2022年3月31日閲覧。
  16. ^ a b c d e f g h i Final Cut Pro - Mac App Storeプレビュー
  17. ^ “Final Cut Pro X、360度VRビデオ編集に対応” (日本語). Apple Newsroom. https://www.apple.com/jp/newsroom/2017/12/final-cut-pro-x-introduces-360-degree-vr-video-editing/ 2018年4月7日閲覧。 
  18. ^ Final Cut Pro 10.4.6の新機能”. Apple Support. 2020年2月6日閲覧。
  19. ^ Final Cut Pro X の最新バージョンは、新しいMetalエンジンによりパフォーマンスが向上”. Apple Newsroom. 2019年10月8日閲覧。
  20. ^ Final Cut Pro X、アップデートによりワークフローを大幅に強化”. Apple Newsroom. 2020年8月26日閲覧。
  21. ^ Final Cut Proは、iPad上のライブマルチカム機能とMac上の新たなAI機能でビデオ制作を変革します”. Apple Newsroom (日本). 2024年6月20日閲覧。

外部リンク

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